入浴施設や雨天時の商業施設などに貼られている
「滑りやすいので、足下にご注意ください」の貼り紙
施設管理者にとっては注意を促しているのだから、後は各々が注意するのが当然で、たとえ転倒しても施設側には責任が無い。というのが従来の解釈だったでしょう。
しかし近年では転倒事故に対する国民の意識も変わりつつあり、施設管理者に対して訴訟を起こすケースも増えてきました。そして訴訟にまで発展した事案では、施設管理者に不利な判決が出ているという現実があります。
滑ると分かっていたのなら、安全に施設を利用できる様に改修しなければいけない。それを怠れば損害賠償等の責任を負わされることになります。
バリアフリー新法
バリアフリー新法では、床の材料及び仕上げは床の使用環境を考慮した上で、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるものとする。評価指標は、滑り抵抗係数(C.S.R)を用いる。と記されています。
※以下、一部抜粋
4.10 床の滑り
床の材料及び仕上げは床の使用環境を考慮した上で、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるものとする。
(1)履物着用の場合の滑り
床の種類 | 単位空間等 | 推奨値(案) |
---|---|---|
履物を履いて動作する床、路面 | 敷地内の通路、建築物の出入口、 屋内の通路、階段の踏面・踊場、 便所・洗面所の床 | C.S.R=0.4 以上 |
傾斜路(傾斜角:θ) | C.S.R−sinθ=0.4 以上 | |
客室の床 | C.S.R=0.3 以上 |
(2) 素足の場合の滑り(※ここでは大量の水や石鹸水などがかかる床を想定)
床の種類 | 単位空間等 | 推奨値(案) |
---|---|---|
素足で動作し大量の水や石鹸水などがかかる床 | 浴室(大浴場)、プールサイド シャワー室・更衣室の床 | C.S.R・B=0.7 以上 |
客室の浴室・シャワー室の床 | C.S.R・B =0.6 以上 |
(3)滑りの差
・突然滑り抵抗が変化すると滑ったりつまずいたりする危険が大きいため、同一の床において、滑り抵抗に大きな差がある材料の複合使用は避けることが望ましい。